AKG K701買った


けいおん!の澪が使っているヘッドホンとして大変な注目を浴びたK701だけど僕自身は梓時々唯派なのだから今回K701を購入するに至ったのは当然けいおん!が直接影響しているわけじゃない。
事の発端は今年の4月17日に新宿西口のビックカメラで何の気なしにMDR-F1を試聴したことだった。それまでイヤホンやヘッドホンに大した興味が無くお店で試聴なんてこともほとんどしたことがなかったから、言ってみれば安物とは呼ばれない程度の性能を持つヘッドホンで音楽を聴いたのはこれが初めてのようなもの。そのせいかこのMDR-F1を着けた瞬間に耳へ流れ込んできた音のクリアさに大変な感銘を受けてしまって、以来ちょっといいヘッドホンを買ってみたい欲が心に居座り続けることになったのだった。
「いいヘッドホン」と言うと抽象的なのだけど、きっかけはMDR-F1だったので買うべきはやはりMDR-F1そのものか、あるいはこれに近い性質でより好みのもの、と初めから方針は定まっていた。で、MDR-F1に近いヘッドホンを探すにあたって注目することにしたのが「開放型」という点。この時初めて知ったことだがヘッドホンには大きく分けて密閉型と開放型の2種類があるらしく、一般的に開放型の方が音がこもりにくくクリアな音が楽しめると言う。ちょうど昨年末に買ったMDR-DS7100の音のこもり具合に辟易していた頃だったから音がこもらないというポイントはとても重要で、これを知っていよいよ開放型だけに焦点を合わせる運びとなった。
価格についてはMDR-F1と同様の2万円前後を想定。その結果比較対象として選び出したのが

の3つのヘッドホンだった。K701が昨年のけいおん!1期放送時に話題になった澪ホンであることを認識したのはこの時が初めてだったと思う。
そしてこれらのヘッドホンを試聴するべく有楽町ビックに赴いたのが4月26日。率直に言って、4つのヘッドホンの音質の違いは全くわからないというのが正直な感想だった。ただこの時同時に気付いたのは装着感には明確な違いがあるということで、具体的に言えば

  • ATH-AD1000→耳の下の方とイヤパッドが密着せず違和感
  • SE-A1000→すぐ下にずれ落ちる
  • K701→締め付けが強い
  • MDR-F1→ジャストフィット

てな具合。着け心地に関してはMDR-F1の圧勝と言って差し支えなかった。そのおかげで一時はもうMDR-F1以外ありえないなと確信して、代金の2万円をATMで下ろしてからもう本当に購入するつもりでヨドバシへ向かったこともあるくらいだった(4月30日)。
しかしその時も購入に踏み切れなかった。と言うのもこのMDR-F1、ネットのレビューを見ると割と厳しい感想が多く寄せられており、中でも「開放型の割には抜けがよくない」という記述が大変気になっていた。実のところ音の「抜けのよさ」というものがわかっていなかったのだけど、言葉の感じからするにもしかして音がこもる・こもらないと同じことを言っているのではないか?今回新しくヘッドホンを買うのはMDR-DS7100のこもった音からの解放という目的もあるのに、また比較的音がこもっていると評価を下された機種を買うのはおかしくないか?なんて考えがMDR-F1を前にぐるぐると頭の中を回ってしまったのだ。
そんなわけでヘッドホン選びは一旦振り出しに戻る。やっぱり装着感の比較だけじゃだめだと思って、今度はiPhoneをそれぞれのヘッドホンに繋げて馴染みの曲を用いての聞き比べをしてみた(5月4日)。
それでわかったのは、SE-A1000は低音が強いというか強すぎてボーカルが埋もれる感じがするということ、K701は逆にボーカルが浮かび上がる感じで聴いていて気持ちがいいということで、ネットでの好評価ばかり目にしていたSE-A1000を幾分冷ややかに見られるようになったと共に、K701に対する印象を鰻上りさせる結果となった。特にK701に関しては「iPodごときでは鳴らし切れない」といった記述を散々目にしていたから、たとえ最大限のポテンシャルを引き出せないにしろそれなりに気持ちよく鳴らしてくれるらしいことがわかったのは大きな収穫だった。
なお、ATH-AD1000はこの2機種の中間のような音で特に不満を感じるようなことはなかったが逆にとびきり優れている印象も持たなかったので、折から気になっていた装着感の観点で選択肢から外すことにした。また、MDR-F1は手持ちのプレーヤーを繋げないようになっていたので比較できず終い。
そんなわけで自分の頭の中ではいよいよK701とMDR-F1の頂上決戦と相成る……はずだったのだが、ゴールデンウィークが明けた後はいおりんに夢中になっていたのでもうヘッドホンとかどうでもよくて、そのまま何の結論も出さないまま2ヶ月が経過。再びヘッドホンのことを気にかけるようになったのは、みなのみずの地方イベントツアーが終わって何となく熱が下降してきた7月上旬のことだった。
この頃の思案の過程はよく覚えていないのだけど、気付いた時にはもうすっかりK701に心が傾いていた。ただ、これは今も思ってることなんだけど、片やヘッドホンオタ界隈において近年名前すら登場しない20年前のヘッドホンと、片や開放型の最高峰と評されることさえあるヘッドホンと、どっちかを選べと言われたら、とりあえず後者を選ぶのが普通なんじゃねえ!?値段もそんな変わらないし。
それで久しぶりに価格.comでK701の最安値を見てみたら、5月から1000円下がって29800円になっている。この時点でほとんど腹を決めたと言うのに、数日待ったら更に下がって28500円。週末に間に合わせるなら今しかない、っと思わずポチってしまった。時は7月21日水曜日、3ヶ月越しの俺的ヘッドホン戦争にようやく終止符が打たれた瞬間であった。
それで肝心の音の違いなんだけど、正直よくわからないね。ヘッドホンアンプの必要性が喧伝されていたからとりあえず安いHA400を一緒に注文したんだけど、これ通しても全然差を感じなかった。
ただ、Cagayake!GIRLSのBメロの右でちょこまか鳴ってるベースとか、晴れのちハレのサビの左でカツンカツン鳴ってる打楽器とか、今まで気付かなかった音が聴こえてくるって体験は既に何曲かでしてて、レビューで書かれていた「音数が増える」ってのはこういうことを言うのかなーなんて思ったりはした。今まで使ってきたイヤホンやスピーカーでも注意していれば頭に入ってくる音ではあるんだけど、K701はそれらの隠れ気味だった音をよりはっきり前面に押し出してくるような感じ。今はこれぐらいしか言えないんだけど、今後更なる驚きをもたらしてくれないかと期待してる。