らき☆すたOVA「バレーボールでお姉ちゃんと対決!」におけるつかさの胸のうち

らき☆すたOVA(オリジナルなビジュアルとアニメーション) - MagicEffect - 松竹梅な駄文

かがみとつかさの関係性に焦点が当てられているという点でも好き

実のところ、今朝感想を書いた時点では、このエピソードは二人の関係性を描くにしては中途半端なものになってしまっていると感じていた。
確かに、つかさの口から「私いっつもお姉ちゃんを頼ってばっかり」というセリフが飛び出したときには驚いた。なぜなら、僕はゆたかとかつかさとか妄想とか - MagicEffect - 松竹梅な駄文にも書いた通り、つかさは日々「お姉ちゃんすごいなぁ。私も頑張らなきゃ」くらいのことは思っていても、それは口ばかりで、実際には特に何を直すでもなく、双子の姉に劣っているなどとコンプレックスを抱くことのないまま過ごしてきたと考えていたからだ。
でも、この「私いっつもお姉ちゃんを頼ってばっかり」ってセリフ、出方がちょっと唐突だったんだよね。「そうやって泣いてても仕方ないぜ。絶対柊に勝つんだろ?」というみさおの言葉に対する反応としては妙だ。まずテーマありきの、都合のいいセリフ運びじゃないか?と感じていた。
だから、この姉vs妹なんてのは、バレーコートという舞台で躍動する彼女たちを描く上での一種のスパイスのようなもので、深く考えるものでもないのかなと思って、今朝はそれっきりにしたのに。眠りから覚めたら、不思議とこのシーンが頭をちらついて離れないのね。それでしばらく妄想を交えて考え込んでいたら、あれってあながち唐突なセリフでもなかったんじゃないかなと思えるようになってきた。
まず前提となるシチュエーションだが、冒頭でみさおが「今日は柊に勝つ大チャンスなんだぜ」と言っていることから、普段B組とC組は体育で一緒になることはなく、かがみとつかさが一緒に授業に参加するのは久しぶりか、あるいは初めてのことだったんじゃないか。そこで、つかさは勉強だけでなくスポーツでも活躍できるかがみの姿をまざまざと見せ付けられる。試合開始直後は、いつも通り「お姉ちゃんは何でもできてすごいなぁ。私も頑張らなくちゃえへへ」としか考えていなかったと思う。でも、突然頑張ろうと思ったって、なかなか上手いプレーはできないわけで。かがみは果敢にスパイクを決め得点を重ねる。つかさはミスを連発する。同じコートの上で。これにはさすがに彼女も堪えたんじゃないか。だんだん落ち込んでしまって、あんなの取れないよ・・・と弱音を吐いてしまうくらいに。そんな弱気になっているところへ、かがみの強烈なサーブが飛んできて、為す術なく顔にボールを激突させ、ついにつかさはへたり込んでしまう。溢れる涙。でも、なにも痛くて泣いているわけじゃない。バレーの試合を通して、改めて思い知らされてしまった。一人で何でもできる姉と、何でも姉に頼りっぱなしだった自分。あの時つかさが流した涙は、きっと彼女が生まれて初めて流した悔し涙だったんだと思う。だから、彼女はこのとき初めて、真剣に、胸に誓ったのね。このままじゃいけない、いつもお姉ちゃんに頼ってばかりじゃいけない、って。
直後から好プレーを見せるつかさではあったが、それも長くは続かず、結局はかがみのチームに負けてしまう。しかし、試合の中で新しい一歩を踏み出したつかさの顔には、もはや憂いの表情はなかった。今までお姉ちゃんに頼りっぱなしだった自分を変えていくんだと決意した、希望に満ちた笑顔がそこにはあった。彼女の生活も、きっとこれから少しずつ変わっていくんでしょうね。朝は自分で起きる。勉強のわからないところもまずは自分で考える。彼女のこの心境の変化が、ゆくゆくはかがみとつかさ二人の関係の変化にも繋がっていくのだろうか・・・。


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