野水伊織&美名 第6回中国(深セン)国際文化産業博覧交易会(第1回中国国際ニューメディア祭) 日本館ステージイベント「そらのおとしもの」「おまもりひまり」ミニライブ @深セン会展中心

土曜日の13時に深センの会場に着くためには前日に日本を発たないと間に合わないから金曜に有休が取れない現在の状況ではあきらめるしかない。いおりんが最初にブログで告知した時にはこう思い当たってそれっきりにしてたんだけど、5月4日のジーンズメイトのイベントで「みんなも来てね」なんてにこにこしながら言ういおりん見たらやっぱり行きたいなあと思って。そもそもこのイベント、会場の性質からして第一に中国のアニメファンのために開かれるものであることは明らかだから、日本から押しかけることが迷惑にならないだろうか、いおりん嫌がらないかなって心配もしてたんだけど、たとえリップサービスだったとしても、来てねという言葉を聞いてしまったら、ああ僕たちも行っていいんですねと、許しを受けたような気分になってしまうじゃない。それで再度ANAのサイトで調べてみたら、なんと羽田2045発香港0025着という仕事終わったあと直接空港向かえば間に合いそうな便がある。空席もある。スーパーエコ割3も効く。決断は実にスムーズだった。
で、5月14日金曜日。結局タイムリミットまでに仕事は終わらなかったものの適当なところで抜け出し羽田空港へ急いだ。19時に国際線ターミナルに着いたらすぐ搭乗券を受け取って出国審査。

20:20には搭乗手続きが始まり、21:00ちょうどに離陸。

機内食がやけにボリュームあった。

香港に到着したのは現地時間00:30頃。01:00前にはスーツケースも受け取って、あとは朝までこの空港の中で時間を潰せばいい。深夜でもバスは走っているため市街のホテルを予約しておけばそこに泊まることも可能らしいが、要は宿泊費をケチったのである。
香港国際空港はかなり大きな空港と聞いていたもののさすがに深夜ともなるとロビーで過ごす人の数はまばらだったので、椅子に座ってうとうとしていても特に危険は感じなかった。もっとも、飛行機の中でも少し眠ったせいかすっかり目が冴えてしまって、結局空港で寝たのはせいぜい1時間くらいだったと思う。

鉄道駅の窓口が開く5時半を待って、そこでオクトパスを購入。ただし乗るのはエアポートエクスプレスではなく、空港の前のバスターミナルから出ているS1系統のバス。このバスで空港にほど近い東涌駅まで向かいそこから地下鉄で市街を目指すことでエアポートエクスプレスに比べて50〜100香港ドル程度浮かすことができるのである。





当たり前のようにホームドアが設置されている。

車両の幅が広いのか列車の中もかなり開放的な印象を受けた。ただし椅子は大変硬い。


尖沙咀駅で下車して、今回予約したホテルに寄り道。ここで荷物を預け、いよいよ深セン行きの準備が完了。ホンハム駅まで徒歩で向かい、東鉄線に乗車する。この電車で香港の最北、羅湖駅まで向かうと、そこで出境審査を受けられ、中国本土・深センに入境できるということであった。

ホンハム駅へ向かう途中突如として香港島の摩天楼が眼前に広がってきて度肝を抜かれた。これが……香港……。

ホンハム駅改札はこんな具合。

  • ホンハム09:06→羅湖09:52








外国へ行くのと同様出国審査・入国審査的なものがある。入国カードまで書かされたりしてちょっとびっくりした。香港返還されたって言っても行き来するにはまるっきり外国と同じような手続きが必要なのね。
そんな手続きを15分くらいで済ませ、10:15、いよいよ中国本土・深センの地を踏む。

駅前広場。

深セン側から見た羅湖駅はこんなの。

深セン駅。もっとも今回はこの駅から鉄道に乗るわけではない。会場の深セン会展中心へ向かう路線が延びる深セン地下鉄・羅湖駅は、この駅前の広場の下にある。

深セン地下鉄の切符。見た目はコインだけど中身はSuicaとかと同じらしく、読取り機とコイン投入口を備えた自動改札機に乗車時はかざし、降車時は投入する。

  • 羅湖10:35→会展中心10:55(深セン地下鉄)

会展中心駅構内で写真を撮っていたら女性の見張り役っぽい人がすごい勢いで近付いてきて「あなた許可取ってるの?」などと訊いてきた。おろおろしてたら「駅の中は撮影禁止」と。これが中国かー。

というわけでさっさと地上へ。目の前に会場がそびえている。

周囲にも高層ビルが乱立し、都会然とした光景が広がっていた。

このイベント、何も漫画やアニメに限らずありとあらゆる文化を集めた展覧会みたいなものらしいから老若男女を問わず様々な人で溢れていた。
あとこの看板からしてそうなんだけどこのイベントの名称、「中国国際文化産業博覧交易会」との記載は当然よく見かけたけど「中国国際ニューメディア祭」らしき表記は会場内でも一度も見なかったような気がする。

チケットは50元。なかなかいいお値段。
そして11:15に入場。時間に余裕はあるもののまずは一目散に漫画やアニメに関する展示をしている3号館の一角、日本企業のブースが集まる通称「日本館」へ向かった。

3号館全体の様子。

角川ブース。そらのおとしものおまもりひまりのポスターと、原作などが並べられているだけ。中国語の説明も一切なく、人が全然おらず、ちょっと心配になる。

もっとも、他の日本企業のブースもあまりやる気が感じられなかった。なぜ。

こちらがイベントステージ。自分が着いた時には何かボカロのコスプレ大会が開かれていた。やつら海の向こうでも人気なんだね。

ステージ横には手書きながらもちゃんといおりんと美名のイベントの告知も掲げられていた。しかし手書きて。

下見も済んだところで腹ごしらえとフードコートで昼ご飯。何かの肉料理とスープ。適当に頼んでしまったので詳細は不明。値段は20元だった。

そらのおとしもの」「おまもりひまり」ミニライブ 13:00回

12時40分にステージ前に到着。この時点で既に十数人がステージ前に陣取っており、最前キープはならず。思いの外熱心だ。
13時の開演を迎えるまでステージのスクリーンにはそらのおとしものおまもりひまりの映像が延々と流されていた。内容はそらおとのOPとおまひまのOP・ED、それに両アニメ作品のダイジェスト。このダイジェストにお色気シーンも普通に含まれていたのは予想外だった。中国でもこういうのありなんですね。
この間にもギャラリーは着々と増えていき、最終的には50〜100人に昇ったのではないかと思う。
そして13時、いよいよ開演。ステージ脇から中国人の通訳と、蜂屋Pが揃って壇上に登場した。まず通訳が蜂屋Pの紹介。何を言っていたのかはわからないが、説明の合間に客席から「おおー」などと歓声が上がっていた。紹介された蜂屋Pも中国語で挨拶。「ニーメンハオ」とかそんな簡単な挨拶じゃなくて、もうちょっと色々言ってたみたい。とは言えその後は全て日本語で、以降日本人出演者が話を1文か2文に分けて喋り、それを逐一通訳が翻訳するという形が取られた。蜂屋Pが「日本から来たって人いる?」と客席に問うと、僕以外にも何人かが手を挙げた。2列目あたりに立ってたから全体を目視できたわけではないけど、5〜10人くらい?「遠いところからお疲れさまです」と蜂屋P。
雑談もそこそこに「それでは二人のゲストをご紹介します。野水伊織さんと美名さんです」と蜂屋Pが合図するとステージ後方右側の扉からそはらコスの美名とニンフコスのいおりんが順に登場。コスプレで出てくるとはまったく予期していなかったのでちょっと面食らってしまった。
名前だけ紹介されて少しトーク。「中国は初めてですか?」と訊かれたいおりんは「初めてです」なんて答えて、昨日は「世界之窓」という観光地に連れてってもらいましたなどと話していた。この世界之窓ってテーマパーク、地球の歩き方香港版にも載ってるくらいだから深センではメジャーな観光施設なのかもしれない。
美名は中華料理がおいしいと答え、蜂屋Pの「中華料理は日本でも食べられるよ?」とのツッコミには「本場の味がする」と返した。
雑談もそこそこに両名の出演した作品の紹介。まずはそらのおとしものから。人気漫画をアニメ化したもので、空から落ちてきた女の子と地上の学生達との交流を描いた作品です、とか、激しいギャグと白熱したバトルシーンで人気を集め、続編の製作も決定しました、とか。
続いていおりんが自身の演じるニンフについて説明。ニンフも空から落ちてきた女の子との一人で、私と同じツインテールの髪型をしています、とか、初めは主人公たちと敵対しますが物語の最後には仲良くなります、とか。さらに蜂屋Pが「前半の冷たい態度と後半のやさしい態度とのギャップに日本のファンはメロメロになり、ニンフルエンザという言葉が流行しました」などと補足した。蜂屋P、青木Pに負けず劣らず「ニンフルエンザ」って言葉好きなんじゃ。あと「野水さんは日本でも何度かこのコスチュームでイベントに出演して人気を集めました」とも言ってた。
美名はそはらのことを主人公の幼なじみで気の強い女の子、などと説明していたと思う
おまもりひまりについては、「これも日本の人気漫画のアニメ版で、主人公の優人の元に集まる妖怪たちとの交流を描いた作品」とかなんとか。別に今回に限ったことじゃないけどトーク部分は結構うろ覚え。「いい妖怪と悪い妖怪がいますが、いい妖怪はみんな何故かかわいい女の子の姿をしています」とか。
凛子についてはいおりんが「凛子は妖怪じゃなくて普通の人間で、雄図の幼なじみです。優人の元に集まってくる妖怪みんなと仲良くなれる気立てのいい子です」とか「いじっぱりなところもあるけど実は優人のことが大好きです」とか。それにしてもこの言い方はきゅんきゅんするな。
美名は優人の子供時代を演じたってことで「主に回想シーンで登場します」と紹介されたと思う。
あとこれはイベント全体を通してのことだったんだけど今日の通訳の方、蜂屋Pやいおりん、美名の話を訳す際につかえることが多く、しばしば「もう一度言って」などとお願いしていた。一応台本らしきものを手にしていたはずだけど、まったく台本通りのことを言っているわけでもなかったのかしら?
作品とキャストの紹介が終わったところで蜂屋Pが「この後ライブがあります」と。ここまでで25分くらい。「そらのおとしものは毎回異なる日本の昔の歌謡曲をエンディングテーマに使用したことで話題を集めたのですが、今日はその中からお二人が歌った岬めぐり夏色のナンシーを披露します」と続け、美名といおりんが曲紹介。「岬めぐりは36年前に流行した曲で、このアニメのエンディングテーマに使われたことで再び人気が出ました」とか。いおりんは夏色のナンシーについて「27年前に日本の女性アイドルが歌った曲で、清涼飲料水のCMに使われたことで人気が出ました」とか。加えて蜂屋Pが「俺がその女性アイドルのファンだったからアニメで使ってくれって頼んだんです」とか言ってた。そらおとのEDテーマって大体こういう調子で決められたんだね。第08話EDのワイルドセブンも斎藤監督が初めてCDを買ったお気に入りの曲だからって理由で選ばれたらしいし。
「日本のイベントでは歌詞のYes!のところでお客さんも一緒に歌うのが恒例になっているんです」と蜂屋Pが説明してこのYes!コールの練習時間が設けられた。「手を上げたところでYes!と言ってください」と前置きした上で、いおりんがアカペラで「恋かな〜」などと歌っては客席がYes!と応えた。
「ライブの準備が整うまで私が編集した鋼殻のレギオスそらのおとしものおまもりひまりのPVをご覧ください」と蜂屋Pが合図すると出演者が全員壇上からはけ、スクリーンには映像が映し出された。内容はレギオスのダイジェスト→そらおとのギャルゲ風キャラ紹介PV→第08話のイカロスVSニンフのバトルシーン(イカロスがニンフにプロテクトを解かれたところからアポロンを取り出すカットまで)→おまひまのノンテロップOP→第12話のバトルシーン(優人が光渡しを発動して剣を緋鞠に手渡す場面から酒呑童子を倒すところまで)
映像が終わると岬めぐりのイントロが流れ始め、扉から美名が姿を現した。服も着替えていて、なんかエキゾチックな感じのドレスだった。客席の一部からは手拍子が起こっていた。
続いて夏色のナンシー。いおりんは水色の……青春ヒットパラダイスで着ていたものと似た雰囲気のドレスに身を包んでのご登場。ドレスの下にはさらに5分袖くらいのふわふわした白い洋服を着ていた。靴下は上端がスカートの丈に完全に隠れるくらいの黒のオーバーニーで、靴もブーツではない黒色のもの。また足首には白く透明でシルクのような布飾りを巻いていた。
事前に練習したおかげかお客さんのYes!コールもばっちりでかなり盛り上がった。いや正直微妙な空気になるんじゃないかとか不安に思ったりもしてたから、本当にちょっと予想外なほどに。
いおりんが夏色のナンシーを歌い終えると舞台脇から蜂屋Pと通訳が、扉から美名も出てきてしばし歓談。「深センの皆さんはノリがいいですねー」と蜂屋P。そして「さっき2人がいなかったからもう一度訊くけど」と前置きして「日本から来た人ー」と再び挙手を募った。美名は「わーありがとうございます!」なんてはしゃぎ気味に声を上げていたけど、いおりんは素っ気無い態度を貫いていたかと思う。続いての「香港から来た人ー」の問いに対しては十数人くらい手を挙げた。てっきり香港人が大半を占めるのかと思ってたから少ない印象。「もっと遠い外国から来たって人ー」の問いには応える人がいなかった。「いたとしても北京語ではわからないかな」と通訳さん。
「お二人にはデュエットでさらに2曲歌って頂きます」ってことでまずRing My Bellの曲紹介。「そらのおとしものの主題歌で、オリジナルは別の二人組が歌ってるんですけど、今回はこの二人が歌う特別バージョンです」とか。
BEAM my BEAMについては、「おまもりひまりのエンディングテーマで、オリジナルはアニメに登場する5人の女の子が歌っています。5人の中には野水さんも含まれています」とか。
そしてこの2曲にもコールがありまーすとか言って、Ring My Bellの「ringin' ringin'」とBEAM my BEAMの「BEAM my BEAM!」をそれぞれ1コーラスずつ練習した。
蜂屋Pと通訳が壇上から降りて、いおりんと美名がステージの真ん中で向かい合ってスタンバイしたところでRing My Bellがスタート。1番が美名メイン、2番がいおりんメインで歌っていたかと思う。「聞いたことがない胸のベルが鳴る」の部分ではいおりんやや音外し気味。ちょっと苦手にしてる音程ありますよね。客席からは練習した「リンリン」コールはもちろんのこと、間奏で「ハイ!ハイ!」との声援も上がり実に沸いた。あと僕の後ろの方で日本語の達者な中国人二人組がずっと一緒に熱唱してた。それは。
そしてラストのBEAM my BEAM。歌詞は5人バージョンだったはず。曲の途中で美名のマイクが何度か音を拾わない不具合に見舞われたりもしてたけど、日本同様やっぱりこれが一番盛り上がってたと思う。締めのコーラス部分は熱かった。練習の時に言及のなかった「love goes on」の部分もそんなに問題なかった気がする。
ライブパートはこれで終わりで、再び4人揃ってしばしトーク。蜂屋Pはまた「日本のイベントより盛り上がったんじゃないですか?」なんて言ってた。「振り付けはどなたが考案されたんですか?」との問いにはいおりんが「私です」と答え、客席からは歓声が上がった。「中国での初のイベントはいかがでしたか」の質問に対しては美名が「皆さんカメラでたくさん写真をお撮りになるものだから圧倒されました」と。そう、今回一応イベント開始前に「関係者以外撮影禁止」との注意が促されたのだが、実際は意味を成さずにイベントが始まるやいなや中国人のファンの皆さんは好き勝手に写真やら動画やら撮影されていたのだった。この件に関してもまた後で。
いおりんは「今日は暖かく迎えていただきありがとうございました!また中国でイベントしたいです!」といったようなことを話していた。
最後に蜂屋Pが「このあと18時からもう一度イベントあるので来られる人は是非もう一度来てください」と。また、「4時半からファーシャドーマン(華夏動漫?)のブースで行われるラジオの公開録音で二人がゲストとして出演します」との告知もなされた。
こんな感じで1回目のステージは終わり。終了時刻は14時であり、実に1時間にも及ぶ想像以上に長いイベントだった。


さて、次は16時半だからそれまで他の展示でも見て回ろう…と思ってたんだけど、なんか私またイベント始まってすぐあたりから過度の緊張から来る例の腹痛に苛まれまちゃって……結局16時頃までフードコートの机で突っ伏してた。いおりんを前にちょっと緊張しすぎなんだよな。この前のドリパのお渡し会の時といいどうかしてる。
で、16時を過ぎた頃から華夏動漫のブースの前をうろうろし始めたんだけど……一向に公開録音が始まる気配を見せぬまま16時30分を迎えてしまった。もしかして4時半じゃなくて14時半って言ってたのを聞き間違えたんじゃないか!?と思い当たってからはいよいよ気持ちが沈んで、深センまで来て何やってんだと絶望が心を支配したりもしたけど、まあ気を取り直してと2回目のステージに備えるべく17時30分頃日本館のイベントステージの前へ移動。
するともう今回も既に2列くらいの人だかりが形成されていた。しかもさっき見たような顔もちらほら。この辺のモチベーションって日本のファンとほんと全然変わらないのね。

そらのおとしもの」「おまもりひまり」ミニライブ 18:00回

そして18時開演。再び蜂屋Pと通訳の方が壇上に姿を現して蜂屋Pの紹介……なお先に書いておくとイベントの内容は大筋で1回目とほとんど一緒。なので以降は相違があった部分を中心に書く。
まず始めの挨拶の後で蜂屋Pが「俺の中国語あってる?」と問うと客席からは「いいよー」などと日本語での返事が飛んだ。
「今日2回目だって人ー」と訊ねると実に半分くらいの人が挙手。アニゆめか。いつも思うんだけど、こういう状況って主催者的にはどうなんだろね。
また、「一つお詫びがあります」と前置きして「さっき4時半からラジオの公開録音に2人がゲスト出演するとお話しましたが、公録自体が中止となりました。お待ち頂いた方には申し訳ありません」と。それは残念でしたね……と同時にちょっとほっとしてしまった。すみません。
それと1回目のイベント終了後たくさんの人にサインや写真を頼まれましたが一人にしてあげると皆にしてあげないといけなくなっちゃうのでご勘弁願いたいとのお詫び。「その代わり今日は4曲も歌います。日本のイベントでも4曲歌うことはそうないんですよ」確かに。
そして先ほどと同様の段取りで美名といおりんが登場。コスプレである点も同じ。
中国はいかがですか?との質問には、いおりんがまず食事がおいしいということを口にした。「昨夜は家庭料理的な中華料理をどれも個性的でおいしかったです」とか。また、訪中後にしたショッピングについても触れ、服を3着買ったとか、深センにはかわいい服やアクセサリーがたくさんあって女の子的には嬉しいです、なんて話してた。
また今回はこの最初のトークパートで「日本から来た人」「香港から来た人」「すごく遠くから来た人」を訊ねていた。
作品紹介パートでは、そらおとについて蜂屋Pが「空から落ちてきた少女たちと主人公たちとの交流を描いた”健全な”作品です」と付け足して、「日本のファンならここ笑うところです」とか言ってた。また、ニンフルエンザの件を蜂屋Pではなくいおりん自身が読んでいた。
で、ライブパート。岬めぐりのイントロが流れて美名が登場…は同じなんだけどなんと1回目と衣装が違う!複数回行われるイベントで回毎に衣装を変えるってのはなかなか珍しくないですか。この時の美名は襟のゆったりとしたなんか肌色の服に黄色のフリルスカート、黒のオーバーニーソックスで、ハイヒールを履いていた。
そしていおりんももちろん先程と異なる服装。胸元に真っ黒の大きなリボンのついた真っ黒の上着に水色のフリルスカート(美名と色違い?)と、原色っぽい青色と黒のボーダーのニーソックス(ちょうど膝丈くらい)。髪型は左側に垂らしたポニーテールで、黒色の大きなリボンの上に暗い青紫色の大きな花の乗っかったフラワーアレンジメントのような髪飾りでまとめていた。夏色のナンシーと呼ぶにはややダークな服装だ。
ところで夏色のナンシー……青春ヒットパラダイスでもそうだったんだけど、今回もまたステージ上で懸命にダンスを踊るいおりんの演技にすっかり目を奪われてしまった。いおりんが考案したという夏色のナンシーの振り付け結構激しいんだけど、この激しい振りをあのちっちゃな身体で危なげにこなす彼女の姿を見ていると、まるで奇跡を目の当たりにしているような、そんな気分になる。
Ring My Bellは1回目同様いおりんと美名がステージ中央で向かい合った状態でスタンバイしたんだけど、曲の出だしがかかるまでに少し時間がかかったため、その長い間を埋めるように目の前の美名をちらっと見つめては視線を逸らしてはにかむいおりんの仕草が印象的だった。もうこの二人なんなの!間奏で客席からハイ!ハイ!と掛け声が上がった時に微笑んだ表情で嬉しそうに美名と顔を見合わせてから腕を振り上げて歓声に応える姿にもぐっときた。
BEAM my BEAMのコール練習では美名が「love goes onもあります」などと付け足していた。
全4曲を歌い終えると蜂屋Pがまた「日本のイベントより盛り上がったんじゃないですか?」と。加えて「日本のファンは結構シャイです」と。それはあるかもしれない。
最後の挨拶ではやはりいおりんが「また戻ってきます!よろしくお願いします!」などと話していた。
これにてお開き……と思ったその時、本日のイベントを締めくくる最後の最後で大事件が発生した。蜂屋Pが「普段日本のイベントだとファンは写真を撮れないんですけど、今日は特別に」と前置きをした上で、極短めながらもなんとフォトセッションを設けると言い出したのだ。プレスの撮影と同じようにいおりんと美名がポーズを取るので、それをお客さんが好きに撮って構わないという。イベント中から散々二人にカメラを向けていた中国人のファンの皆さんだから、このまたとない機会を逃すものかともうステージ前方へ群がる群がる。僕は前から3列目に立っていたし、首からカメラもぶら下げていたから、その気になれば簡単に二人の姿を写真に収めることもできただろう。でも、僕はどうしても撮ることができなかった。いや撮らなかった。ここでだけはどうしても自らの矜持を貫きたかった。僕はある物事の最中に行う写真撮影は少なからず体験そのものの質をスポイルする行為だと考えている。だから旅行中に一番気を付けているのはカメラに夢中になりすぎないことだし、それは今回のようなイベントにおいても同じこと。蜂屋Pは始めにわざわざ日本でのイベントの事情を引き合いに出したが、僕ら日本のファンが、禁止されてるから仕方なく写真をあきらめてるとでも、本当に思ってんの?何も僕たちはそれだけの理由でカメラに手をかけないわけじゃない。憧れの人と時間を共有できる、生涯において僅かに限られた機会でしか享受することのできない体験を、写真撮影なんてつまらない行為によって台無しにしたくないから撮らないんだよ。このことだけは、いおりん達に誤解して欲しくなかった。
ま、現地ファンの全員が全員カメラに執心していたわけじゃないし、全体的に見ればイベント自体は実に和やかなムードに包まれていたと思う。30分も前から20人近くの人がスタンバイしていたり、蜂屋Pやいおりん達の問いかけに通訳が訳す前から「かわいいー」「素敵」などと日本語で反応したり、傍から見てても本当に日本のアニメが好きなんだろうなあと感じる人が大勢ステージを囲っていたのだから。僕のようなでしゃばりも数人混ざっていたにせよ、こうしてたくさんの外国人ファンの声援を生で受け取ることができて、いおりんや美名さんはもちろん、その場に居合わせた関係者一同にとっても製作者冥利に尽きるというものだったろう。こういう海外でのイベントをまた開くことができたらいいね。
そしてもちろん、日本でのイベントも。僕自身は飽くまでも単にいおりんのことが好きだから参加するだけというスタンスで望みたいと考えているから、彼女のことを応援したいとか、見守りたいとか、そんな偉そうな口を利くつもりはないけれど、僕のする行為が結果的に少しでもあなたにとっての支えになるのだとしたら、それが一番嬉しいです。